スタディングの行政書士講座の「安かろう悪かろう」への口コミ
スタディングを検索して巷の口コミを眺めていると、「講義が浅い」「問題練習が不足している」「安もの」という意見が目立ち、安かろう悪かろうと評価されています。
プロフィールの見栄えを良くする方法などでも使われる手法ですが、意思が弱い性格を協調性があると置き換えたり、短気な性格を表裏がないと言いかえるように、デメリットを換言してメリットにする方法を使った口コミもあります。
「講義が浅い」は「講義が理解しやすい」、「問題練習が不足している」は「他社問題集と組み合わせることで効果を最大限に発揮」、「安もの」は「他社よりコスパが良い」のように表現されている口コミも散見されています。
「行政書士講座はメリットとデメリットを比較して決めろ」という意見もありますが、これだけ情報が氾濫している現在、どこも他社教材を研究しているので、他社より安くて良いものを作るのは至難の業です。時間をかけてメリット・デメリットを比較しても値段相応という結論にしかならないでしょう。
客観的な評価が値段と比例するなら、あなた自身の主観的評価が高くなる行政書士講座を選択するべきです。他人にわざわざ言い換えられなくても、スタディングの行政書士講座のデメリットがメリットに見えるようなら、選択しても良いのではないでしょうか。
スタディングの合格体験記を読むとデメリットが見えてくる
スタディングの行政書士講座のデメリットを探す時は、やはり合格者の体験談が参考になります。合格者は嬉しさもあって、使用した教材を贔屓目に見るので、一般的な口コミよりメリットだらけになるのが普通です。それでもなお苦言を呈しているなら、そのデメリットはあなたにとって致命的になる可能性まで秘めています。
それではスタディングの行政書士講座の合格者体験記からデメリットを探していきましょう。
複数の合格者から出てきたデメリットは、「講義が理解できない」というものと「教材が足りない」という2点です。しかし、「講義がわかりやすかった」、「スタディングの教材だけで合格可能」といった正反対の意見もあり、判断が難しくなってしまいます。
さらに合格体験記を読みこむと、受講生が法律関係の仕事をしているなどで法律の知識がある場合はわかりやすく感じ、初学者は理解できないと感じていることが分かります。わかりやすいと言われると良いことのように思えますが、合格者の声にもあるように、「情報量が足りない」だけのようです。わかっていることを講義するからわかりやすいだけで、それなら講義を受ける必要がないはずです。
帯に長したすきに短しという感じがしますが、法学部出身者や初学者にはデメリットが多く、中間くらいの受験生にとってはピッタリ合う講義動画であると推測されます。
ここで疑問になるのが、「中間くらいの受験生」とは具体的にどのような受験生を指すのかという点です。
法律を勉強したことがなければ初学者ですし、法律を勉強したことがあれば既修者になります。法律の勉強を始めてすぐやめた人が中間くらいの受験生になるのでしょうか。法学部に入って短期間で退学したような人ならスタディングの行政書士講座の講義動画が合う可能性があります。
このように考えてみると、最大のデメリットは、講義を受けるターゲットを十分に把握しないまま講義動画を作成していることだと分かります。
このデメリットに対しては、「広く受講生を受け入れる行政書士の通信講座でターゲットを正確に把握するのは難しい」という反論が予想されます。しかし、講師はこの道20年という人のようですから、微妙な塩梅で講義することができるのではないでしょうか。このあたりは詳細に検証する必要がありそうです。
もう1つのデメリットである「教材が足りない」点も詳しく探っていきたいところですが、まずはどのような教材があるのか、スタディングの行政書士講座の基本情報から始めます。
安くて不安になるスタディングの行政書士講座の基本情報
スタディングの行政書士講座はどのような講座なのでしょうか。基本情報をまとめてみましょう。
企業名 | KIYOラーニング株式会社 |
通信講座名 | スタディング |
通信講座数 | 27 |
主力通信講座 | 中小企業診断士 |
行政書士講座講師名 | 竹原健 |
講師の得意分野 | 不動産系 |
講義動画 | Web |
テキスト | Web(冊子オプション) |
過去問 | 講座・Web問題集 |
記述式対策 | 講座・PDF問題集 |
模試 | Web(自己採点) |
その他 | 合格のための論点200、合格祝い金1万 |
行政書士総合コースの価格 | 税込み65,780円(再受講割引あり) |
行政書士合格コースの価格 | 税込み50,490円(再受講割引あり) |
スタディングを運営しているのはKIYOラーニング株式会社という東証マザーズ上場企業です。東証マザーズ上場は2020年7月15日で、公開価格は2300円、初値5360円、12月の株価は1万円程度となっています。
2015年から2019年にかけて売上を約10倍に伸ばしたものの、損失は20倍近くになっていますが、法人向けサービス「エアコース」がコロナ禍で注目され、2020年は黒字転換が予想されています。
上場会見において、KIYOラーニング株式会社社長は、個人サービスであるスタディングについて価格優位性を強調していましたが、利益につながっていないのは明らかで、価格優位があるというより、売れないからたたき売りをしているだけにしか見えません。法人向けの需要が増えていると語ったように、収益の中心は法人向けサービスであるエアコースに移ると考えられます。
KIYOラーニング株式会社では副次的なサービスになりそうなスタディングですが、開講されている講座数は27に及びます。社長が会見で例に挙げたように、宅建の資格取得講座を不動産会社にまとめて提供するような法人向けサービスに力を入れ、行政書士のような個人向けサービスは軽視される可能性があります。
スタディングの主力講座は、社長自ら資格を所有する中小企業診断士。開講されている講座の順番にも表れているように、ビジネス・経営系が中心で、次に不動産系、行政書士講座が含まれる法律系は3番目の重要度になっていると考えられます。
会見でも触れられたように、スタディングの講師は、大手資格スクールでの経験者を登用しています。行政書士講座を担当する竹原健氏は、クレアールでも行政書士講座を担当し、スタディングでは不動産系の講師も担当しています。
竹原氏が行政書士講座に本腰を入れてしまうと、クレアールの受講生を奪ってしまうことにもなりかねません。スタディングは27講座開講していて、行政書士講座の重要度は高くなく、クレアールは10講座開講していて、行政書士講座は比較的重要度の高い講座なので、どちらを重視するかは一目瞭然です。
価格優位を主張するだけあって、教材は比較的コストがかからないWebで提供されています。講義動画は基本講座34時間、過去問解法講座22時間、記述式解法講座14時間の計70時間あるので、スマートフォンで視聴する場合、1GBで3時間視聴できるとすると、23GB程度使用することになります。
講義動画を3周するとして、約70GB。ドコモが2020年12月に発表したahamoが月20GBで税込み3,278円ですから、学習期間を半年に設定して、ahamoを導入すると、通信費用2万円で、講義動画以外に月8GB使える計算になります。
テキストを読んだり、問題集を解いたりするにも通信が必要になりますし、理解できなかった部分を何度も視聴するなら、月20GBでは足りないかも知れません。
通信費用2万円を加えて、受講料を比較してみます。
コース | 受講料(税込み) | 通信費用(税込み) | 計(税込み) |
総合コース | 65,780円 | 19,668円 | 85,448円 |
合格コース | 50,490円 | 19,668円 | 70,158円 |
スタディングの行政書士講座は教育訓練給付制度の対象になっていないため、教育訓練給付制度の対象になっている行政書士講座なら、総合コースとの比較で106,810円、合格コースとの比較で87,698円の他社コースと同価格になります。
例えば、フォーサイトで不合格時に全額返金してくれるバリューセット3との比較をしてみると、セット価格97,680円(税込)、教育訓練給付制度の対象になっているので、この価格から実質2割引きになります。送料は別ですが、住んでいる地域によって異なるので考慮しないとすると、79,024円プラス通信費用19,668円で税込み98,692円となります。さらに、通信費用がかからないDVD付きのコースは99,300円で、こちらも教育訓練給付制度の対象になっているので、税込み87,384円となります。
コース | 受講料(税込み) | 通信費用(税込み) | 計(税込み) |
総合コース | 65,780円 | 19,668円 | 85,448円 |
合格コース | 50,490円 | 19,668円 | 70,158円 |
バリュー3 | 97,680円 | 19,668円 | 117,348円 |
バリュー3DVD | 108,130円 | 0円 | 108,130円 |
バリューセット3は基礎講座+過去問講座+直前対策講座+答練講座なので、総合コースとの比較にしないと不公平です。
バリューセット3には送料がかかりますが、総合コースは場合によってはスマートフォンの取得費用がかかります。どちらが良いかはあなた次第ですが、KIYOラーニング株式会社の社長が主張するほど価格優位はないことになります。
中小企業診断士の資格を持っている社長が実質2000円の差を価格優位と言っているはずはないので、今後大幅な値下げができるものと考えた方が良いでしょう。
つまり、原価が高く、これ以上価格を下げられない他社と比べて、スタディングの行政書士講座は圧倒的に原価が低いので、価格優位を維持できると結論付けることができるのです。
資格スクエアの行政書士講座が既修者なら実質3万円程度(税込)なので、価格優位があるという社長の言葉を信じれば、実質1・2万円になるまで価格が下がると考えられます。1万円程度にまで下がれば、受講する意義も出てくるのではないでしょうか。